めまいは外来で非常に多い症状のひとつですが、原因はさまざまであり、耳の病気から脳の病気まで幅広い疾患が関与します。
めまいの診断では、「回転している」「ふわふわする」といった症状の性状だけで判断するのではなく、
- どのように始まったか(発症様式)
- 何で起こるか(誘発因子)
- どれくらい続くか
を重視して評価します。
急性めまいの多くは内耳由来の末梢性めまいですが、脳出血や脳梗塞などによる中枢性めまいを見逃さないことが非常に重要です。
めまいの主な原因
めまいは以下の観点から分類します。
■ 出現様式
- 急性
- 反復性
- 慢性
■ 誘発因子
- 頭位変換
- 姿勢変化
- 起立動作 など
■ めまいの種類
- 回転性めまい(ぐるぐる回る)
- 浮動性めまい(ふわふわする)
- 眼前暗黒感(立ちくらみ)
① 良性発作性頭位めまい症(BPPV)
末梢性めまいの中で最も頻度が高い疾患です。
- 特定の頭の動きで誘発
- 持続時間は1分以内が多い
- 耳石が半規管へ入り込むことで発症
② 前庭神経炎
- 突然発症する強い回転性めまい
- 数日持続
- 頭位変換とは無関係
- 上気道感染後に発症することが多い
ウイルス感染による前庭神経の炎症が原因と考えられています。
③ 脳幹・小脳の出血・梗塞(要注意)
中枢性めまいの代表例で緊急性があります。
特徴:
- めまいに加え
- 歩行障害
- 麻痺
- 感覚障害
- 構音障害
などの神経症状を伴うことが多い。
④ 一過性脳虚血発作(TIA)
椎骨脳底動脈の一時的血流低下によって生じ、症状は24時間以内に消失しますが、脳梗塞の前兆となる可能性があります。
⑤ 前庭片頭痛
- 回転性または浮動性めまい
- 5分〜72時間持続
- 頭痛を伴わないこともある
片頭痛の既往の確認が診断の鍵になります。
⑥ 起立性低血圧
起立時の脳血流低下により、
- ふらつき
- 眼前暗黒感
を生じます。
⑦ 心因性めまい
不安症やうつ病など精神的要因に関連し、浮動性めまいとして現れることが多いです。
⑧ 持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)
- 急性めまい後に続発
- 3か月以上持続
- 体動や視覚刺激で悪化
感覚代償の異常が関与すると考えられています。
めまいの診断
めまいは症状の種類だけでは原因を判断できません。
重要なのは以下です。
急性反復性めまい
- 最多:BPPV(再発しやすい)
- 前庭片頭痛も鑑別
- 聴力低下があればメニエール病を疑う
急性単発性めまい
主な原因:
- 前庭神経炎
- 脳幹・小脳血管障害
神経学的診察が極めて重要です。
慢性反復性めまい
- 起立性低血圧
- 自律神経障害
- 心因性めまい
- PPPD
などを考慮します。
めまいの治療
治療の基本は原因疾患の治療です。
急性期には対症療法を行います。
① 原因疾患への治療
例:BPPVでは
耳石置換法(頭位治療)により耳石を元の位置へ戻します。
② 急性期の対症療法(内服)
- ジフェンヒドラミン・ジプロフィリン(トラベルミン)
- ジフェニドール(セファドール)
- ベタヒスチン(メリスロン)
※通常は2週間以内の使用が目安。
③ 内服困難時(点滴治療)
- 炭酸水素ナトリウム(メイロン)
- ヒドロキシジン(アタラックス-P)
- メトクロプラミド(プリンペラン)
すぐ受診・救急受診が必要なめまい
以下の場合は中枢性疾患の可能性があります。
- 今まで経験したことがないめまい
- 強い頭痛を伴う
- 手足の麻痺・しびれ
- ろれつ障害
- 歩けない
- 意識障害
➡ 速やかな医療機関受診が必要です。
まとめ
- めまいは「性状」より発症様式と誘因が重要
- 多くは良性の末梢性めまい
- しかし脳血管障害の除外が最優先
- 原因に応じた治療が必要
気になるめまいが続く場合は、早めに医療機関へご相談ください。