男性更年期障害とは、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下によって心身にさまざまな不調が現れる状態です。
医学的には LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群:Late-Onset Hypogonadism) と呼ばれます。
40代後半頃からみられ始め、特に50~60代男性に多いとされています。
男性更年期障害が起こる原因
テストステロンは、
- 思春期から急激に増加
- 20歳頃をピーク
- 以降は年齢とともに緩やかに低下
していきます。
しかし以下の要因により、ホルモンが急激に低下すると症状が出現します。
主な要因
- 加齢
- 慢性的ストレス
- 睡眠不足
- 肥満・生活習慣病
- 運動不足
- 過労・心理的負担
特に50~60代は、仕事や家庭でのストレスが重なりやすく、発症が多い年代と考えられています。
男性更年期障害の症状
症状は大きく身体症状と精神症状に分けられます。
■ 身体症状
- 朝立ちの減少・消失
- 勃起不全(ED)
- のぼせ・多汗
- 全身倦怠感
- 筋力低下
- 筋肉・関節痛
- 骨密度低下
- 頭痛・めまい・耳鳴り
- 頻尿
■ 精神症状
- 不眠
- 無気力・疲労感
- イライラ
- 性欲低下
- 集中力・記憶力低下
- 抑うつ症状
「年齢のせい」「疲れているだけ」と見過ごされやすいのが特徴です。
男性更年期と生活習慣病の関係
テストステロン低下は以下のリスク増加と関連することが分かっています。
- メタボリックシンドローム
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 糖尿病
- 一部の悪性腫瘍
つまり男性更年期障害は、単なる体調不良ではなく全身疾患のサインでもあります。
AMSスコアによるセルフチェック
男性更年期障害の評価には、世界的に使用されている
AMS(Aging Males’ Symptoms)スコアが用いられます。
17項目を5段階評価し総点数で判定します。
| 点数 | 評価 |
|---|---|
| 17~26点 | なし |
| 27~36点 | 軽度 |
| 37~49点 | 中等度 |
| 50点以上 | 重度 |
※症状がある場合は医療機関での評価が重要です。
男性更年期障害の診断
診断は以下を総合して行います。
■ 血液検査
- テストステロン
- 遊離型テストステロン
日本では一般的に、
👉 遊離テストステロン 8.5 pg/dL以下
で治療適応が検討されます。
※8.5~11.8 pg/dLは境界域。
■ 採血の重要ポイント
テストステロンは日内変動があるため、
✅ 午前7~11時の採血が必要
当院では正確な評価のため、午前中(11時頃まで)の来院をお願いしています。
追加検査(必要に応じて)
原因鑑別のため以下を測定します。
- LH(黄体形成ホルモン)
- FSH(卵胞刺激ホルモン)
これにより:
- 原発性性腺機能低下症
- 続発性性腺機能低下症
の鑑別が可能です。
鑑別が必要な疾患
- うつ病
- 薬剤性ホルモン低下(例:スルピリド)
- クラインフェルター症候群(47XXY)
などを除外することが重要です。
男性更年期障害の治療
① テストステロン補充療法(TRT)
不足した男性ホルモンを補充します。
- テストステロン製剤注射
- hCG製剤(精巣刺激)
※治療前にPSA検査を行い、前立腺疾患の評価を行います。
② 内服治療(自費治療を含む)
ホルモン製剤入手困難時などに:
- クロミフェン(クロミッド)内服(自費)
を選択する場合があります。
③ 漢方治療
症状に応じて使用します。
- 補中益気湯
- 八味地黄丸
- 柴胡加竜骨牡蛎湯
- 加味逍遥散 など
④ ED治療(必要時)
- シルデナフィル
- バルデナフィル
- タダラフィル
(PDE5阻害薬)
生活習慣の改善も重要
薬物治療と同じくらい重要です。
■ 運動
筋肉を使うことでテストステロン分泌が促進されます。
■ 睡眠
テストステロンは睡眠中に分泌されます。
■ 食事
- タンパク質
- 亜鉛
を意識した食事。
■ ストレス管理
慢性ストレスはホルモン低下の大きな要因です。
まとめ
- 男性更年期障害はテストステロン低下による全身症状
- 40代以降の男性に多い
- 身体・精神症状ともに多彩
- 午前中の血液検査で評価可能
- 治療と生活改善で症状改善が期待できる
「年齢のせい」と思っていた不調が改善することも少なくありません。
気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。