糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)のコントロールがうまくできなくなり、血糖値が慢性的に高くなる病気です。
通常、食事から摂取した糖質は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きによって細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されます。
しかし糖尿病では、
- インスリンの分泌が不足する
- インスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)
といった状態が起こり、血糖値が上昇します。
糖尿病は自覚症状が乏しい一方、放置すると重い合併症を引き起こすため、早期発見・継続治療が重要です。
糖尿病の種類
糖尿病は主に次の2つに分類されます。
■ 1型糖尿病
免疫異常により膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど作られなくなる病気です。
- 若年発症が多い
- 自己免疫疾患
- インスリン注射が必須
遺伝的要因も関与します。
■ 2型糖尿病(全体の90%以上)
日本人の糖尿病の大部分を占めます。
主な原因:
- インスリン抵抗性(効きが悪い)
- インスリン分泌低下
- 肥満
- 運動不足
- 加齢
- 遺伝的体質
以前は高齢者に多い病気でしたが、近年は若年化が進んでいます。
糖尿病の主な症状
高血糖が強くなると次の症状が現れます。
- 口渇(のどが渇く)
- 多飲・多尿
- 体重減少
- 疲れやすい
ただし 無症状のまま進行することも多い のが特徴です。
糖尿病の合併症
未治療の場合、血管障害が進行します。
細小血管障害
- 糖尿病網膜症(失明原因)
- 糖尿病腎症(透析原因)
- 糖尿病神経障害
大血管障害
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 末梢動脈疾患
そのため定期的な検査が不可欠です。
糖尿病の診断
診断には以下を評価します。
- 血糖値
- HbA1c(過去1〜2か月の平均血糖)
※HbA1cのみでは診断できず、血糖値測定が必須です。
問診・身体診察で確認する内容
- 症状の有無(口渇・体重減少など)
- 家族歴
- 体重変化
- 服薬歴(ステロイドなど)
- 足病変・神経障害所見
必要に応じて:
- 尿検査(尿蛋白・尿アルブミン)
- 腎機能(eGFR)
- 眼科検査(眼底評価)
を行います。
2型糖尿病の病態
2型糖尿病では次の2つが同時に存在します。
- インスリン分泌障害
- インスリン抵抗性
遺伝要因に加え、過食・運動不足・加齢などの環境因子が発症に関与します。
糖尿病治療の目標
治療の目的は単なる血糖低下ではありません。
✔ 糖尿病のない人と変わらない生活の質(QOL)
✔ 寿命の確保
✔ 合併症予防
一般的な目標:
- HbA1c 7.0%未満
※高齢者では低血糖リスクを考慮し個別設定します。
糖尿病の治療
① 生活習慣改善(基本治療)
- 食事療法
- 運動療法
- 体重管理
HbA1c 9.0%未満では、まず2〜3か月生活改善を行うことがあります。
② 薬物療法
改善が不十分な場合に開始します。
主な糖尿病治療薬
■ インスリン分泌促進系
(インスリンを出しやすくする)
- DPP-4阻害薬(例:ジャヌビア)
- GLP-1受容体作動薬(例:リベルサス、オゼンピック)
- SU薬
- グリニド薬
■ インスリン分泌非促進系
(効きを改善する)
- メトホルミン(第一選択となることが多い)
- SGLT2阻害薬
- チアゾリジン薬
- αグルコシダーゼ阻害薬
患者さんの
- 肥満の有無
- 心血管疾患
- 腎機能
- 年齢
- 低血糖リスク
- 費用
を考慮して薬剤を選択します。
インスリン治療が必要になる場合
以下ではインスリン導入を検討します。
- 著明な高血糖(空腹時 ≥250 mg/dL)
- 尿ケトン陽性
- 感染症・外傷時
- 経口薬でコントロール不良
- インスリン分泌枯渇
外来でも持効型インスリンを1日1回から開始可能です。
高齢者糖尿病での注意点
高齢者では副作用リスクが上昇します。
注意すべき例:
- 低血糖(インスリン・SU薬)
- 脱水(SGLT2阻害薬)
- 乳酸アシドーシス(メトホルミン)
個別化治療が重要です。
まとめ|糖尿病は早期管理が重要です
- 糖尿病は自覚症状が少ない慢性疾患
- 放置すると失明・透析・心血管疾患の原因
- 生活習慣+適切な薬物治療で管理可能
健康診断で血糖異常を指摘された場合は、早めの受診をおすすめします。