帯状疱疹後神経痛とは、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した神経が支配する皮膚領域に起こる、慢性的な痛みのことをいいます。帯状疱疹とは痛みを伴う水疱の発疹で、水痘を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発生します。左右どちらかの神経に沿って帯状に生じるのも特徴です。多くは上半身にみられ、上肢~胸背部が約30%、腹背部が約20%です。顔面や目の周りに現れることもあります。
水痘・帯状疱疹ウイルスはヘルペスウイルスの一種です。ヘルペスウイルスには1型、2型、3型があり、1型は口唇ヘルペス、2型は性器ヘルペス、3型は帯状疱疹を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスです。ちなみに、ヘルペスウイルス4型は伝染性単核球症を引き起こすEBウイルス、ヘルペスウイルス5型はサイトメガロウイルスと呼ばれ新生児や免疫機能が低下している人に重篤な感染症を引き起こします。6型と7型は、突発性発疹と呼ばれる小児の感染症を引き起こします。8型は日和見感染でカポジ肉腫などを引き起こします。
帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹の合併症としては最も頻度が高く、症状としては持続的に焼けるような痛み、一定の時間で刺すような痛みを繰り返す、といったものです。ほかにも、ひりひり、ズキズキ、締めつけられる、電気が走るなどと表現されるような痛みを感じることがあります。感覚が鈍くなる状態(感覚鈍麻)や、触れるだけで痛みを感じる状態(アロディニア)もよく見られ、シャツが擦れて痛いなどの日常生活への影響が出ることがあります。50歳以上の帯状疱疹罹患者は、帯状疱疹後神経痛に移行しやすく、加齢とともに移行率は高まります。帯状疱疹後神経痛の治療のメインは薬物療法とブロック注射です。神経障害性疼痛治療薬や、麻薬性のオピオイド薬、うつ病治療薬が使用されます。薬物療法と併用して硬膜外ブロック注射も行われます。発症した場合はなるべく早期(1ヶ月以内)の治療開始が有効です。ブロック注射でウイルスにより障害を受けた神経を休ませることで治癒までの期間を短縮させ、早期回復を目指します。当院でもブロック注射が可能ですので、お気軽にご相談ください。
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