不眠症の治療では、従来はベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬が広く使われてきました。
近年、新しいタイプの睡眠薬として オレキシン受容体拮抗薬 が登場し、注目されています。
この薬は、脳の覚醒システムに作用することで 自然な眠りを促す という特徴があります。
この記事では、
- オレキシン睡眠薬とは何か
- 従来の睡眠薬との違い
- 代表的な薬(デエビゴ・ベルソムラ・クービビック)
- 副作用や注意点
について医師がわかりやすく解説します。
オレキシンとは
オレキシンは脳の視床下部で作られる神経ペプチドで、
覚醒状態を維持する働きを持っています。
オレキシンは
- 日中に多く分泌される
- 覚醒を維持する
- 睡眠覚醒リズムを調整する
といった役割があります。
そのため、オレキシンの働きが強いと 眠れない状態 になりやすくなります。
オレキシン受容体拮抗薬とは
オレキシン受容体拮抗薬は、
覚醒物質であるオレキシンの働きを抑えることで眠りを促す薬です。
脳のオレキシン受容体(OX1R・OX2R)をブロックすることで、
覚醒状態から睡眠状態へ移行させます。
従来の睡眠薬が
脳を鎮静させる薬
であるのに対し、
オレキシン睡眠薬は
覚醒システムを抑える薬
という点が大きな違いです。
オレキシン睡眠薬の特徴
オレキシン系睡眠薬には次のような特徴があります。
自然に近い睡眠
覚醒を抑えることで眠りを促すため、
自然に近い睡眠が得られやすいとされています。
依存性が比較的少ない
ベンゾジアゼピン系睡眠薬と比べると
依存や耐性が起こりにくいとされています。
中途覚醒にも効果
入眠障害だけでなく
- 夜中に目が覚める
- 早朝覚醒
にも効果があります。
日本で使われているオレキシン睡眠薬
現在、日本で使用されている主な薬は次の3種類です。
| 薬剤名 | 一般名 | 発売 |
|---|---|---|
| ベルソムラ | スボレキサント | 2014 |
| デエビゴ | レンボレキサント | 2020 |
| クービビック | ダリドレキサント | 2024 |
これらは DORA(Dual Orexin Receptor Antagonist) と呼ばれ、
オレキシン受容体1と2の両方を阻害します。
各薬の特徴
ベルソムラ
世界初のオレキシン睡眠薬です。
特徴
- 睡眠維持効果
- 長めの半減期
- 中途覚醒に有効
デエビゴ
比較的新しい薬で、入眠効果も期待できます。
特徴
- 入眠障害にも効果
- 睡眠維持
- 翌日への持ち越しが比較的少ない
クービビック
さらに新しいオレキシン睡眠薬です。
特徴
- 夜間睡眠を改善
- 日中の眠気が少ない
- 半減期が短め
オレキシン睡眠薬の副作用
比較的安全性の高い薬ですが、
以下の副作用が報告されています。
主な副作用
- 眠気
- 頭痛
- めまい
- 倦怠感
症状が気になる場合は医師に相談しましょう。
オレキシン睡眠薬が向いている人
次のような方に処方されることがあります。
- 不眠症が続いている
- 夜中に何度も起きる
- 従来の睡眠薬が合わない
- 依存性が心配
睡眠薬は自己判断で使わない
睡眠薬は体質や症状により
適切な種類が異なります。
自己判断での服用や
個人輸入の睡眠薬は危険です。
不眠症が続く場合は
医療機関で相談しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q オレキシン受容体拮抗薬とは何ですか?
覚醒物質であるオレキシンの働きを抑えて睡眠を促す新しいタイプの睡眠薬です。
Q 従来の睡眠薬と何が違いますか?
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は脳を鎮静させますが、オレキシン薬は覚醒システムを抑えることで眠りを促します。
Q オレキシン睡眠薬は依存性がありますか?
従来の睡眠薬に比べ依存性は少ないとされていますが、医師の指示に従って使用する必要があります。
Q オレキシン睡眠薬はどんな不眠に効きますか?
入眠障害だけでなく、中途覚醒や早朝覚醒にも効果が期待できます。
Q オレキシン睡眠薬は市販されていますか?
市販薬ではなく医師の処方が必要な医療用医薬品です。
Q 高齢者でも使えますか?
高齢者でも使用されることがありますが、用量調整や副作用に注意が必要です。
Q 副作用はありますか?
眠気、頭痛、めまい、倦怠感などが報告されています。
Q 毎日飲んでも大丈夫ですか?
医師の指示に従えば継続使用が可能な場合があります。
Q お酒と一緒に飲んでもいいですか?
アルコールと併用すると眠気が強く出る可能性があるため避けることが望ましいです。
Q どの診療科を受診すればよいですか?
内科、心療内科、精神科などで不眠症の診療が行われています。
この記事の監修医師
あんどうファミリークリニック 院長 安藤 岳史
医師。地域医療・在宅医療を中心に診療を行い、日常診療に基づいた医学的知見をもとに医療情報を発信しています。 本記事は最新の医学的知見および臨床経験に基づき作成・監修されています。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を代替するものではありません。症状がある場合は医療機関へご相談ください。